Heavy Duty Vehicles Cav - Infineon Technologies

長距離トラック、ダンプトラック、バス、収穫機、無限軌道車、フォークリフトなどの大型の商用車、建機、農機 (CAV) には特殊な条件が求められます。信頼性、耐久性、採算性に加えて、環境にやさしくエネルギー効率に優れている必要があります。道路を走る数は乗用車がはるかに多いものの、トラックやバスなどの大型車両は、道路交通によるCO2排出量の約27%を占め、EUでは総CO2排出量の約6%を占めます。

CO2排出量とエネルギー消費の増加は、主に経済活動の増大と製品への需要拡大によって促されています。活発な経済活動を受けて、交通量と輸送量が増え、トラックによる運送が必要になります。EU理事会は、増加するCO2排出量に対応して、欧州初となるトラックなど大型車両用のCO2排出基準を採用しました。この新たな基準によると、メーカーは新たに製造するトラックの排出量を、2019年比で2025年までに平均 15%、2030年までに30%減らさなければなりません。そのため、遅くとも2025 年以降、欧州の道路を走るトラックの環境性能は次第に高まるでしょう。

なぜ大型車両の電動化が急がれるのか

排出量の増加と早急な気候対策の必要性から、CAVの電動化はここ数年、メーカーと利用者の差し迫った課題になっています。最新の排出規制やエネルギー規制に対応するため、電動ドライブトレインへの切り替えが進んでいます。大規模な運送業者や物流サービスが所有する車を中心に、都心を走る商用車の電動化も急速に進んでいます。他方で、多くのグローバル物流企業は、改造や購入を通じて電動車両を増やすと約束しています。欧州では、まさに今転換の機運が高まっています。2019年には、バッテリ式やプラグイン式電動トラックの登録台数が前年比で2倍以上に達しました。疑いなく、これは始まりにすぎません。欧州のトラックメーカーの推計によると、大型トラックの CO2排出削減目標を達成するため、2030年までに約20万台のゼロ排出トラック―― バッテリ式電動トラックと燃料電池トラックを含む――が必要になるでしょう。

パワートレインインバーターと補助アプリケーションが、鍵を握る

有益な選択肢とする電動化を進めるために必要な技術は、モーター、ドライブ、パワー、計算処理、センシング、通信など、電気電子のすべての分野にわたります。使用されるセンサーやアクチュエーター、マイクロコントローラー、メモリの数や、死角検知などの機能から、CAVは基本的に一般乗用車よりはるかに複雑になります。半導体に関しては、大型車両を電動化するには、パワートレインインバーターと補助ドライブアプリケーションに関するソリューションが必要になります。補助ドライブアプリケーションは、ベーラー、チェーンソー、草刈り機、回転ブラシ、収穫機などのマシンに対応するものです。完全電動ドライブトレインの場合、機械部品に代わって、パワーエレクトロニクスインバーターが制御する電子マシンが搭載されるため、大型車両のエネルギー効率と信頼性が高まります。安全性と堅牢性を備えた電子マシンは、バスやトラック、農機が、現在の化石燃料車に代わる排出ゼロの選択肢として地位を確立するために欠かせない、決定的な設計要素です。ひとつ例をあげると、IGBT（絶縁ゲートバイポーラートランジスタ）スイッチングデバイスは、極端な熱サイクル、負荷遮断による過渡電圧スパイク、振動による機械的ストレスに対応する設計になっています。

アプリケーションページ：用車、建機、農機

シリコンカーバイドなどの新技術でエネルギー効率を最適化

インフィニオンの半導体なら、電動ドライブトレインに関する最新の排出やエネルギー規制に従うことができます。たとえば、トラックに搭載すれば、電動ドライブトレインのスイッチングを最適化し、センサー、アクチュエーター、コンピューティング用アプリケーションでドライバーをサポートします。燃料を節減する電子制御ソリューションを提供し、効率的な充電を可能にします。新たに登場したシリコンカーバイド (SiC) デバイスも、電動CAVアプリケーションのパワースイッチに利用できるもうひとつの新技術です。主な仕様はIGBTと類似していますが、シリコンカーバイドデバイスは、はるかに高い周波数でのスイッチングが可能であるため、より小型の受動素子やフィルターを使用できます。また、より低い周波数でスイッチングする際も、IGBTに比べて総損失を最大80%削減します。その一例が1200 V CoolSiC™ シリーズであり、モジュールとディスクリートの形態で提供しています。

アプリケーションのページ: トラック、農機用ハイブリッドおよび電子ソリューション

インサイト: ホワイトペーパー、Podcast4Engineers

多くのアプリケーション用に半導体ソリューションを提供

インフィニオンのパワーソリューションは、収穫機、トラクター、バス、トラック、採掘機などの商用車、建機、農機の効率的なエネルギー利用を可能にします。そのためにインフィニオンは、極めて幅広いアプリケーションに対応したソリューションを提供しています。たとえばトラックの場合、電動ドライブトレインや補助電力供給に加えて、オンボードチャージャーやワイヤレスパワー、DC-DCコンバーター、電動ポンプやコンプレッサーなどにも含まれます。

インフィニオンの半導体を搭載したアプリケーションとして、その他にも、バッテリー管理システム、ブレーキ車両安定化制御や「ステアバイワイヤ - ブレーキバイワイヤ」などの安全機能、レーダー用やカメラ用アプリケーションなどがあります。あらゆる領域のCAV電動化アプリケーションに対応するため、インフィニオンの製品は、Si IGBT、CoolSiC™ MOSFET、EconoDUAL™ や HybridPACK™ Driveなどのパワーモジュールから補助ゲートドライバー、マイクロコントローラー、センサーまで多岐にわたります。インフィニオンのIGBTの中で最も有名な製品は、最大900 A、1700 Vのコスト効率に優れた EconoDUALTM 3 ハーフブリッジです。