ホームおよびガーデンにおけるグリーン エネルギー

エネルギー収支のバランスがとれた家電用半導体

ほとんどの人にとって、家は生活の中心です。個人的な隠れ家であり、力の源です。自由な時間を楽しみ、日々の仕事をこなし、大切な人たちと過ごす場所です。一方で、家は暖房、冷凍、料理、ガーデニング、コミュニケーションなど、多大なエネルギーを消費する場所でもあります。そのため、各個人が気候保護に貢献できるという点で大きな可能性もあります。冷蔵庫やテレビ、芝刈り機や生け垣刈り機などにおいて、エネルギー効率を高めることで節約できる可能性が非常に高いのです。

さらに、これまで化石燃料が主流だった分野における電化が、CO2排出量削減の重要な要因として浮上しています。これは電気が私たちの生活でますます中心的な役割を担っていくことを意味します。電気は、私たちが日常生活において必要なあらゆるエネルギーの源になると期待されています。電気エネルギーは光や運動、熱に簡単に変換できるため、最も品質が高く、柔軟に使えるエネルギー形態といえます。

インフィニオンの半導体ソリューションは、低消費電力チップ、センサー、モーター制御、コネクティビティ システムを備えており、エネルギー効率の高い家電製品を実現するのに大きく貢献しています。

燃焼式工具は過去のものになっています。騒音がある上に、大きく環境を汚染します。米国カリフォルニア州大気資源局 (CARB) によると、リーフ ブロワーや芝刈り機のような小型のガス動力機器は、同じ使用時間でファミリーカーの何倍ものスモッグ原因物質を排出します (例: リーフ ブロワー1時間使用 ≙ 1,100マイル走行)。そのため、カリフォルニア州の新しい法律は、2024年までに化石燃料を使用する道具の販売を禁止することを目指しています。環境に優しい代替手段はすでにあります。効率的なブラシレス モーターとリチウムイオン バッテリーを搭載したコードレス電動工具です。こうした代替製品は、とりわけ36 Vから72 Vのプロ用電動工具において、同等もしくはそれ以上の性能を提供します。多くの家庭や庭では、芝刈り機やお掃除ロボット、コードレスのヘッジ トリマーやドリルが使われています。こうしたバッテリー駆動機器は、最新の半導体を搭載することにより、高い性能と効率を同時に実現します。 今後半導体ソリューションは、いかに工具の効率と寿命を向上させられるでしょうか。モーター、充電、バッテリーの主要部分を見てみましょう。 モーター制御: 現在、全モーターの約50%がブラシ付きモーターです。しかし、時代は低バッテリー容量で制御できるブラシレス モーターへとシフトしています。電源部品、マイクロコントローラー、センサーを使うことで、より高効率なモーター整流が可能になり、その結果、エネルギー消費量が削減され、デバイスの寿命が延びます。 充電: 最新の充電器は放熱性が向上していますが、このことは、充電時の電力損失が少なく、同じ容量を充電するのに必要なエネルギーが少なくて済むだけではありません。現在の充電器はスマートにバッテリー充電できため、バッテリーの寿命を延ばし、毎年バッテリーの無駄を減らすことができるのです。 バッテリー管理: 持続可能な機器には耐久性の高いバッテリーが搭載されています。しかし、バッテリーがただ大きければよいわけではなく、さらに多くの材料が必要となり、ツールも手軽で軽量でなければなりません。ソリューションは、バッテリーの効率と寿命を延ばすパワー部品と最新のBMSアーキテクチャーです。
ヒートポンプは熱を電気に変換でき、化石燃料の必要性を低減できます。ヒートポンプは、再生可能エネルギーへの転換において以前から注目されている技術です。現在の地政学的な緊張、石油やガスの価格が予測不可能なことから、ヒートポンプ技術は一層脚光を浴びています。ヒートポンプは、空気、水、地中などの自然界に貯えられた熱エネルギーを、よく知られた冷媒サイクルを使って建物に移動させます。供給されたエネルギーは、暖房、家庭用給湯、さらには冷房にも利用できます。つまり、ヒートポンプは環境からの熱を家庭で使用できるエネルギーに変換するのです。インフィニオンの半導体ソリューションは、室内機と室外機のヒートポンプ機能全体をサポートします。電源部品はコンプレッサーのインバーターとファンを駆動し、センサーは温度を測定し、半導体デバイスは遠隔制御とインターネット接続をサポートします。 ヒートポンプのカーボンフリー動作はガスを消費しません。その代わりに、コンプレッサーは電気で動作し、理想的には自然エネルギーで発電されます。ヒートポンプは1 kWの電力でモーターを動かし、環境から取り込んだエネルギーにより3~6 kWの熱エネルギーを建物に送ります。これが、ヒートポンプがきわめて効率的な理由です。エネルギーは環境から取り出されるため、ヒートポンプが最終的に供給する電力よりも消費する電力が少ないのです。エネルギー貯蔵システムと組み合わせることで、ヒートポンプは自然エネルギーによる発電量の変動を吸収でき、太陽光発電や風力発電によって、より多くの電力需要を満たせます。さらに、既存の建物をネットゼロ (温室効果ガスの排出が正味ゼロ) に改修することで、ヒートポンプがより効率的に動作できるようになります。 ヒートポンプは、空気、水、地中などの自然界に貯えられた熱エネルギーを、冷媒サイクルを使って建物に移動させます。空気熱利用ヒートポンプは、ファンを通して外気を取り込み、周囲の熱をヒートポンプに供給します。ヒートポンプでは、外気温によって冷媒が蒸発し、気体になります。この気体が圧縮機によって圧縮されます。それにより、ガス (冷媒) の温度が上昇します。凝縮器では、高温の冷媒ガスが凝縮し、熱を放出します。暖房される建物では、水が熱媒体として循環します。この水は、凝縮器内の冷媒が放出する熱を吸収し、暖房用または貯湯用の配水システムに伝えます。 国際エネルギー機関 (IEA) によると、ヒートポンプは、各国政府がエネルギーと気候に関する公約を完全に果たすというシナリオにおいて、世界中で住宅空間の暖房と給湯を脱炭素化する主な手段になっています。国際エネルギー機関の推測では、2030年にヒートポンプが世界の二酸化炭素 (CO2) 排出量を少なくとも5億トン削減する可能性があるとしています。これは、現在ヨーロッパで使用されている自動車の年間CO2排出量に匹敵します。ヒートポンプの最大市場であるフランス、イタリア、ドイツを抱えるEUでの販売台数は、前年比約35%増の220万台を超えています。世界全体では、ヒートポンプの販売台数は2021年に13%以上増加しました。IEAの報告書「Net Zero by 2050」のシナリオでは、ヒートポンプの設置台数は2030年には世界で約6億台まで増加すると予測しています。

エアコン: スマートな方法で省エネ

 

ここ7年間は記録的な猛暑でした。室内冷房の必要性が強く高まっているのも不思議ではありません。2021年には、建物によって最終的に消費される電力のうち、冷房が占める割合は16(〜2,000 TWh) にもなりました。削減できる可能性があるエネルギーはきわめて大きいのです。IEA事務局長のファティ ビロル (Fatih Birol) 氏は、「エアコン需要の増大は、今日のエネルギー論議における最も重大な死角のひとつです」と話しています。効率基準を高めれば、新しい発電所の必要性を減らし、排出量を削減し、コストを削減できます。

インテリジェントな空調システムでは、特にその利点を活用して電力消費を削減し、的を絞った冷却によって快適性を向上させられます。実際のニーズに合わせて性能を調整するので、このような空調機器は周囲の環境を「見て」、「聞いて」、「感じる」ことができます。センサーとコントローラーは、部屋にいる人の数と位置を特定します。こうした情報をもとに、エアコンはファンの回転数やスイング範囲を変更します。スマート システムはまた、温度、CO2濃度、空気の質を測定し、新鮮な空気と冷たい空気をいつ送り込むかを決定し、大幅な省エネに貢献します。

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これは、目には見えないものの、とても重要です。充電器は、スマートフォンやタブレット、その他のデバイスに「正しい」タイプの電流と電圧を供給する役割を担っています。つまり、交流電流を直流電流に変換し、元の電圧230 V (米国では110 V) をデバイスが使用できる低い電圧 (たとえば5 V) に変換します。電圧変換をしないとデバイスは充電されず、破損する可能性さえあります。しかし、この変換中にエネルギー損失が起こります。充電器の温度が上がり、部品や電子システムの品質によっては熱くなることもあります。 デバイス内の最先端マイクロエレクトロニクスは、この廃熱を大幅に削減できます。ここでは、半導体技術である窒化ガリウム (GaN) がきわめて適した特性を備えています: このトランジスタ部品は、損失を非常に低いレベルに保ちながら、電圧コンバーターのスイッチング周波数を高周波化できます。簡単に言えば GaN半導体は、デバイス内の電気エネルギーの節約に役立ちます。 EUの重要な新規制が2024年12月より施行: スマートフォン、タブレット、ヘッドフォンは、主に持続可能性の観点から、USB-Cポートの搭載が義務付けられます。その後、他の種類の機器もこれに続きます。近い将来に、さまざまな電子機器への電力供給用に必要な標準コネクタは1つになります。これにより、充電器の数も大幅に減り、電子廃棄物を削減することにもなります。GaNパワー ステージやトランジスタなど、インフィニオンの半導体はこの新技術を推進し、効率的で高速な充電を可能にします。

冷蔵庫 - エネルギー効率の高いモーターによる快適な静音性

常に稼働している冷蔵庫の音は過去のものとなっています。こうしたモーターでは単にオン/オフを行い、一日中稼働させたままにしていたため、膨大なエネルギー消費と騒音をもたらしていました。現代の冷蔵庫は、スマートでコネクテッドです。モーターはパワー チップ、センサー、マイクロコントローラーによって制御されています (つまり「インバーター化」されています)。これらの部品により、モーターは快適な静音性、高いエネルギー効率、そして最終的に小型化を実現しています。インバーター化によって、機器が実際に必要な電力のみ消費できるようになります。一日中モーターをオン/オフするよりも、はるかに効率的です。

原理は簡単で、温度、湿度、モーターの回転速度などのデータを常に収集することにより、センサーが家電製品の効率的な運転をサポートします。このデータを使用し、ミニコンピューターまたはマイクロコントローラーが冷蔵庫のエネルギー消費を抑えるのに必要な制御コマンドを計算します。パワー チップは、冷蔵庫の温度を一定に保ちながら、モーターを最適な回転速度に制御するコマンドを実行します。このように負荷に応じてモーター速度が調整されるため、冷却は現在の需要に合わせて調整されます。

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2025年には、スマートホームが世界で5億戸に達すると予想されているのをご存知でしょうか。スマート冷蔵庫やエアコンのようなコネクテッドデバイスは、私たちの生活を便利にしてくれますが、同時にエネルギーをさらに消費します。気候変動という課題に直面する中で、私たちはエネルギー消費全体、特にスマート機能による消費を制限できる、賢い方法を見つけなければなりません。そこで活躍するのがセンサーです。センサーは、コネクテッド デバイスが周囲の環境を直感的に理解し、それに応じて反応できるようにします。これを「コンテキスト認識」と呼びます。スマートホームの住人にとっての安全性と利便性に加え、この機能によってエネルギーも節約できるようになります。センサーは、デバイスが単に常時オンになっているのではなく、必要なときだけ動作するようにします。こうした大きな利点により、CO₂排出量を削減し、デバイスの寿命を延ばし、コストを削減します。 右側のリンクをクリックし、実際に効果を発揮しているセンサーの3つの例をご覧ください。 ほとんどの場合、家、部屋、電気機器の近くなどであっても、誰もいないときに電気を使用するのは意味がないと、誰もが同意することでしょう。逆に、人が部屋に入ったり近くにいたりしたときに、エアコンが動き出し、照明が点灯し、音楽が流れ始めるなど、機器のスイッチが入るととても便利です。エネルギー消費は、実際のニーズや部屋の占有率に連動したものでなければなりません。そのためにはどうすればよいでしょうか?高感度のXENSIV™レーダーセンサーは、部屋の中の人や動きを検知し、機器のスイッチを入れたり、深いスリープモードにしたりできます。こうして、レーダーセンサーは快適さとユーザーエクスペリエンス (たとえば、あなたがいるところに音楽が流れる) を向上させるだけでなく、多くのスマートホーム アプリケーションのエネルギー消費を最適化します。 最新のテレビの技術革新をご存知でしょうか?そのひとつがサムスンのFrame TVです。使用していないとき、画面には「黒い空間」の代わりにアート作品が映し出されます。2021年モデルには、インフィニオンのXENSIV™ 60 GHzレーダーセンサーが搭載されています。このセンサーは室内に人がいることを検知し、一定時間人がいなくなるとアートモードをオフにします。これにより、OLEDの寿命だけでなく、エネルギーも節約できます。 空気の質を効果的に測定するのは、パンデミックの時代では特に重要になっています。健康と幸福のための利点に加えて、専門的な空気制御はエネルギー消費の削減に役立ちます。インテリジェント換気システムは、センサーによって制御でき、CO₂濃度を測定して、在室者数に応じた制御をします。その結果に応じて、室内に必要な新鮮な空気が計算された量だけ供給されます。窓を開け、適切なタイミングで閉めることでも同様の効果が得られます。これによって冷暖房の手間が軽減されます。EUでは、建物や産業におけるエネルギー消費の50%が冷暖房によるものなのです。エネルギーが節約できる可能性は大いにあります。たとえば、XENSIV™ PAS CO2センサーを使用した換気システムでは、最大55%のエネルギーを節約できます。スマート サーモスタットやビルオートメーション システムと組み合わせれば、その効果はさらに高くなります。 多くのスマートデバイス (ドアベル、ビデオカメラ、スマートスピーカーなど) では、録音したり、コマンドや入力を受信したり、通信を行うためにマイクを使用しています。これらのデバイスは、特定の入力によって「ウェイクアップ」されるまでスタンバイ状態になっています。低消費電力モードでは、マイクロフォンのエネルギー消費は劇的に減少しますが、「聞く」ことはできます。「Alexa」や「Siri」のようなウェイク ワードや、ドアが開く音のようなトリガーを検出します。こうした入力が検出されると、マイクは通常モードに切り替わり、最適な音声を拾います。スマートスピーカーには4つ以上のマイクが搭載されており、最大90%の時間を低電力モードで過ごすという事実は、大きな省エネの可能性があることを意味します。 理想的な世界では、ビルの電気設備は故障せずに稼働し、最も効率的な方法でエネルギーを消費します。もちろん、必ずしもこうはなりません。システムの重要な要素に組み込まれたセンサーは、HVACや照明などの機器の状態を監視できます。収集されたデータには、正常値から外れた、性能や効率の低下を示すものがあることがあります。その結果、高価なダウンタイムが発生し、消費電力が増加することがあります。デバイスの老朽化や劣化により、もはや最適な性能で動作しません。こうした状況はさまざまなセンサーによって検出できます。たとえば、HVACシステムでは、DPS368気圧センサーがフィルターの目詰まりによるエアフローの低下を検知し、TLI4971磁気電流センサーがモーターの故障を示し、IM69D130マイクはコンプレッサーの音の異常を検知します。状態監視に加えて、センサーは予知保全という次のステップをも行います。 スマートな感覚、スマートな鼻、スマートな耳、スマートな目: インフィニオンのセンサーは人間の機能から着想を得ており、暗黙の意図や文脈を含め、周囲の環境を解釈できます。センサー内蔵のデバイスは、私たちが何をして欲しいかを直感的に理解しているようです。そのため、このインテリジェントなテクノロジーを「直感的センシング」と呼んでいます。センサーは現実とデジタルの世界をつなぎ、生活をより簡単で安全なものにするだけでなく、環境にも優しいものにします。

ビデオ: センサーを使ってエネルギー削減

型ながら大きなインパクト: インフィニオンのXENSIV™レーダーセンサーは、サムスンの最新テクノロジーFrame TVに搭載されています。存在検出ができるため、アートワーク ディスプレイのエネルギー消費を大幅に削減できます。

ホームおよびガーデニング用の革新的製品

 

さまざまな革新的ソリューションが、家庭環境でのエネルギー削減が行えるようにサポートするため、CO2排出量を削減する環境にやさしくスマートな家庭へと生まれ変わらせます。パワー半導体、マイクロコントローラー、コネクティビティ ソリューション、各種センサーは、エネルギー消費を大幅に削減すると共に、居住者の快適性と幸福感を向上さ せます。

炭化ケイ素 (SiC) や窒化ガリウム (GaN) などのワイドバンドギャップ技術は、エネルギー効率を次のレベルへと進化させるため、この分野において特別な役割を果たします。さらに高い電力密度と小型サイズが、家電製品、太陽光発電、エネルギー貯蔵ソリューションにおいて、持続可能な設計の鍵となります。 

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