スマート ヘルス機器

スマート ヘルス機器を実現

健康とウェルビーイングをサポート

インフィニオンの半導体製品とソフトウェア ソリューションはデジタル ヘルスケア デバイスのニーズを満たすため、スマー トヘルス機器に最適です。インフィニオンは心身の健康増進と健康な状態の維持に役立つスマート デバイスを実現し、その信頼性、利便性、パーソナライズ、安全性を高めることで、健康志向のライフスタイルをサポートします。それが、世界的な人口増加と高齢化に直面している医療システムを機能させるために私たちができることです。

健康が「急性の病気をその都度治療すること」を意味する時代から、「責任を持って長期的な予防医療を行うこと」を意味する時代に移りつつあります。心身の健康増進によって病気を予防することに重きが置かれるようになったのです。そして、個人の健康増進と看病や介護が必要になった際の重要なファクターとして、自宅の役割に注目が集まっています。

センサー、マイクロコントローラー、アクチュエーター、接続モジュール、セキュリティ ソリューション、ソフトウェアなどのテクノロジーが組み合わさることで、IoTは病気の予防や健康増進に大きな役割を発揮する可能性を秘めています。健康ウェアラブル機器フィットネス デバイスは無数にあります。心拍数や呼吸パターンなどの主な健康指標を追跡する機能によって、ユーザーは健康意識が高まり、心身の健康に積極的な判断を下せるようになります。

バイタル センシング システム

高齢化社会を助ける

日本のフィンガルリンクという会社が開発した「ミリ波レーダー生体情報検出システム」は、介護施設や住宅内の居住スペースに設置することを想定した、高齢者見守りシステムです。血圧、心拍数、睡眠の質など、さまざまな健康パラメータを非接触で1日中継続的にモニタリングすることができます。収集されたデータはクラウドで安全に管理されます。この健康パラメーターのモニタリングはインフィニオンの60 GHzレーダーICによって実現しています。

ミリ波レーダー生体情報検出システム

では、ミリ波レーダー生体情報検出システムとはどのような製品でしょうか?

介護施設や住宅の居室に設置し、非接触で24時間血圧や心拍数、睡眠の質や排せつの状態などを測定します。測定情報はクラウドで管理され、センサーにはインフィニオンの60 GHzレーダーICが採用されています。

このシステムに採用されているミリ波レーダーとはどのようなセンサーですか?

・レーダーは電波を発射し、対象物からの反射波を受信し、その差から様々な情報を取得できます。
・60 GHzミリ波レーダーは周波数が広く、人が動いても高い精度で検出が可能です。
・カメラによる見守りは、画像を取るためにプライバシーの懸念が起こりえますが、ミリ波レーダーではその懸念なしに非接触でバイタル センシングが可能です。

インフィニオンの革新的なレーダー・システムは、医療と高齢者介護分野においてさらなる発展をもたらすと確信しています。インフィニオンは、自動車や家電などへの半導体の重要なサプライヤーとしてテクノロジーの発展に貢献してきました。一方で医療や介護における半導体テクノロジーの活用はまだ発展途上です。当社のレーダー ソリューションを通じてIoT技術をさらに進化させ、活用していくことは高齢化、過疎社会という課題に対しての大きな一助となります。

ミリ波レーダー生体情報検出システムは、地方の高齢者の遠隔でのモニタリングを可能にし、介護者の負担を軽減し、介護サービスの質を向上させます。この技術は、高齢者ケアを大幅に改善し、高度な技術によって高齢化社会の生活の質の向上に貢献する可能性を秘めています。

これからの時代における「心身の健康」

利便性、スマート性、安全性

パンデミックによって、医療分野を含むデジタル技術が急速に発展していることは明らかであり、朗報と言えます。なぜなら、健康器具のデジタル化はすべての人に多大なメリットをもたらすからです。特に、患者にとってはより多くの情報を得ることができるというメリットがあります。

セルフケアの重要性が高まる中、健康状態やフィットネス、栄養、外見、睡眠、マインドフルネスの向上に役立つスマート ウェアラブル デバイススマート ホーム デバイスの消費が増えています。実際、こうしたデバイスには多くの利点があります。

  • フィットネス トラッカーなどのスマート ウェアラブル機器を利用することで、患者自身が重要な健康データの全体像を把握し、医師と共有して適切な予防策を引き出すことができます。
  • デジタル アプリケーションを活用した治療に対する理解と受容は以前に比べて一変しました。治療の判断はトップダウン的なものから同じ視線に立ったものに変わりつつあります。

たとえば、糖尿病や高血圧の場合、健康データを収集し、デジタル アプリケーションを介して医師に直接送信することができます。もちろん、その過程でデータの安全性が損なわれることはありません

新たなスマート ヘルスとフィットネス技術の実現

WHO (世界保健機関) の健康増進用語集では健康促進を「自分の健康をコントロールし、改善することを可能にするプロセス」と定義されています。インフィニオンは革新的で最先端の半導体ソリューションのポートフォリオにより、以下をサポートしています。

  • 医療用ウェアラブルなどのスマート ヘルス モニタリングに役立つ革新的な技術やデバイスの設計
  • 睡眠モニタリングなどの予防医療機器
  • 病気になったときのための在宅生活支援ソリューション

センサー、接続技術、セキュリティ ソリューションの発達により、患者を中心に据えた心身の健康増進ソリューションや患者エンゲージメント サービスの安全性、効率性、利便性が大きく向上します。そして医療用電子機器用の半導体の売上高は2026年までに64%伸びると予測されています。

 医療機器における世界的なIoT市場は明らかに「ヘルスケアとはセルフケアである」という考えが主流になりつつあり、特に患者の積極的な関与と患者中心のケアに焦点が当てられています。中でもバイタル サイン モニター市場は最も高い成長率が見込まれています。フィットネス用ウェアラブルのようなスマート ヘルス機器を例に挙げてみましょう。医療用バンドは健康状態やフィットネスのデータを追跡する機能があるため、個人、医師、医療スタッフにとって効率的なモニタリングを可能にします。明らかな体調異変が認められたときにまず薬を飲むなどのアドバイスをくれるため、重大な局面で特に有益です。深刻な異常状態が継続する場合は医師への連絡や緊急通報を行うこともできます。

 

医療機器には多くの技術的ノウハウが詰め込まれていますが、スマート ヘルス デバイスでは常にユーザーとそのニーズに重点が置かれています。より豊かで健康的な生活を送れるように人々をサポートすることが重視されているのです。

さらに詳しく......スマート ヘルス機器に使われている半導体

センス: 健康状態の測定の基礎となるセンサー

センサー タイプのXENSIV™ファミリーは市場で最も広範なポートフォリオであり、スマート デバイス メーカーに迅速な市場投入を可能にするターンキー ソリューションを提供します。XENSIV™ MEMSマイクロフォンにより、MEMSマイクロフォンは新たなパフォーマンス クラスに到達します。XENSIV™ MEMSマイクロフォン ベースのリファレンス デザインとインフィニオン製MEMSマイクロフォンのポートフォリオは、最も要件の厳しいアプリケーションでもワンランク上のオーディオ性能を実現します。XENSIV™ファミリーはデジタル絶対圧センサーで構成され、小型サイズ、低消費電力、最高レベルの精度、環境への堅牢性、広い温度範囲にわたる相対精度が大きな特長です。インフィニオン製品が使われている圧力センサーのパートナー製品から、お客様のニーズに合った理想的なソリューションを見つけてください。インフィニオンの60 GHzレーダーは健康モニタリング、ジェスチャー制御、存在検知などのアプリケーションに適しており、インフィニオンのREAL3™イメージ センサーは顔認識による認証やAR/VRアプリケーションに最適です。これらは、現在世界で最も先進的なビジョン センシング技術であるインフィニオンのToF (Time-of-Flight) をベースにしています。一方スマート デバイスには、ユーザーとデバイス間の物理的なインタラクションも存在しています。インフィニオンのCAPSENSE™ソリューションは、洗練された高信頼性の、使いやすい静電容量式タッチ センシング機能を搭載しており、お客様の設計にご活用いただけます。CAPSENSE™は平均消費電流22 μAという、業界トップクラスの低消費電力動作を誇ります。

コンピュート: 高性能と低消費電力を両立するマイクロコントローラーと高性能メモリ ソリューション

PSoC™ 6は高価で消費電力の大きいアプリケーション プロセッサと性能が低いマイクロコントローラー (MCU) の間のギャップを埋める製品です。PSoC™ 6 MCUは1つのチップに両方のCPUを搭載するデュアルCPUアーキテクチャを採用しています。PSoC™ 6プログラマブル プロセッサ ラインは低消費電力コアを備えているだけでなく、きめ細かに電力を管理する6つの電力モードを搭載しています。セキュリティ機能も組み込まれており、IoTシステムを保護します。また、PSoC™ 6ファミリーに対応する次世代の強誘電体RAMのEXCELON™は、超低消費電力の動作、高速インターフェース、即時不揮発性、無制限の読み取り・書き込みサイクル耐久性という特長を持っており、携帯医療機器やウェアラブル アプリケーションのデータ ロギング メモリとして理想的な製品です。スマート デバイスはいつでもどこでも使えることが期待されています。同時に、最大限の安全性、信頼性、セキュリティを備えている必要があります。インフィニオンは安全性、セキュリティ、信頼性に優れた組み込みシステム向けソリューションを幅広く展開しています。インフィニオンのNORフラッシュ製品をぜひご確認ください。

アクチュエート: QiトランスミッターからクラスDアンプへ

ワイヤレス給電は多機能なスマート デバイスに不可欠な機能になりつつあります。インフィニオンは電磁誘導式にも磁界共鳴式にも対応した安全で効率的なワイヤレス充電ソリューションを提供しています。例としては15 W Qi テーブルトップ トランスミッターや、2.5 W 共鳴式マルチデバイス充電器 (トランスミッター、レシーバー付き) など、ソフトウェアを含むカスタマイズされたターンキー システム ソリューションが挙げられます。音響製品向けには優れたエネルギー効率と電力密度を誇るMERUS™ マルチレベル クラスDアンプICがあります。インフィニオンのポートフォリオには、完全に統合されたシングルチップのオーディオ ソリューションと、拡張性の高いアンプ ドライバーICとパワーMOSFETを組み合わせたディスクリート オーディオ ソリューションがあります。

コネクト: Bluetoothから5Gまで ― オンデマンド コネクティビティ

今日のモバイル機器やワイヤレス アプリケーションは4G/5Gが普及した結果、要件が厳格化しています。そのため、設計において低い損失率、強力な性能、高い線形性を備えた高集積RFフロントエンド ソリューションが必要とされています。インフィニオンはアンテナ チューナー、RFスイッチ、LNA、LMMなど、高性能RFフロントエンド コンポーネントで構成された広範な製品ポートフォリオを提供しています。また、世界で柔軟な接続性を確保するため、インフィニオンはeSIMハードウェアだけでなく、すぐに接続可能なOPTIGA™ Connectなどのハイエンド製品も含め、高品質の5G対応eSIMソリューションを幅広く提供しています。クラス最高の認証済みセキュリティ ハードウェアと高速で相互運用可能なオペレーティング システム (OS) を組み合わせたOPTIGA™ ConnectソリューションはIoTや消費者向けデバイスの要件に最適化されています。接続機能とリモート プロファイル プロビジョニング機能が組み込まれているので、国を問わずコネクテッド デバイスの迅速で容易な導入と管理をサポートします。WICED Wi-Fi + BluetoothコンボはIoT設計用の小型フォームファクター ソリューションで、IEEE 802.11a/b/g/n/ac WLANとBluetoothをシングルチップに統合しています。多くのWi-Fi + Bluetoothコンボは、サンプル コード、ツール、開発サポートを提供するWICED Wi-Fi/ModusToolboxTMソフトウェア開発キットのサポート対象となっています。

セキュア: ヘルスケアと医療機器のデジタル世界における信頼の構築

セキュア: ヘルスケアと医療機器のデジタル世界における信頼の構築 スマート デバイスはインフィニオンのワンストップ セキュリティ ソリューションにより、万能なお財布に生まれ変わります。オールインワンのターンキー ソリューションであるSECORA™ Connectを導入すると、対応ウェアラブル機器やIoT機器が複数の支払いカードや交通機関のチケットなどを安全に保管、選択、使用できるパワフルで万能なお財布になります。SECORA™ Connectなら、セキュリティやアンテナ設計の経験がないスマート ウェアラブル システムの設計者でもNFCベースのさまざまなアプリケーション向けに超低消費電力の超小型ソリューションをシームレスに統合することが可能です。SECORA™ Blockchainはブロックチェーン システム実装用のクラス最高のセキュリティを誇る、高速で使いやすいJava Card™ソリューションです。ユーザー認証情報のための安全な「金庫」を提供することで、エンドユーザーの取引におけるリスクを低減し、ブロックチェーン システムへの信頼性を向上させます。最後に、OPTIGA™ Trust、OPTIGA™ Authenticate、OPTIGA™ Connectの各製品ファミリーには、認証機能の搭載、ブランド保護、高度なセキュリティの各アプリケーションにおけるニーズに対応する多様なセキュリティ チップが用意されています。

どこでも簡単かつ直感的に健康状態を把握できる

ヘルス&フィットネス用ウェアラブル機器

何もかもがつながった世界に生きる今日の消費者は、何よりも利便性を求めています。簡単で直感的な方法で、必要な情報を得る便利さが重視されるのです。スマート デバイスの世界市場は、患者の積極的な関与と患者中心のケアにますます重点を置くようになると予想されます。小型でスマートなウェアラブル デバイスは健康状態の数値を定期的に自動測定する機能を持っており、患者の自己管理や医師による管理が可能なため、この分野で重要な役割を果たします。

スマート ウォッチ、スポーツ ウォッチ、フィットネス トラッカー、ヘルスケア用リストバンドなどのヘルス フィットネス ウェアラブル機器は快適にさりげなく身に付けることができ、ヘルス フィットネス トラッキング機能を搭載するものが増えてきています。健康モニタリング機能を備えたウェアラブル機器は身体活動のほか、心拍数、血圧、血中酸素濃度などのバイタル パラメーターを測定することが可能です。そのため、体の潜在的なリスクを早い段階で特定し、迅速に解決策を講じることができます。とは言え、ウェアラブル機器を身に付ければ医師による診察が不要になるわけではありません。ウェアラブル機器の目的は、あくまで病気の予防と健康状態の把握です。また、ウェアラブル機器は転倒を検知することもできます。コネクテッド ヘルスに対応することにより、特に高齢者の自立した安全な生活に役立ちます。

健康と福祉を支える革新的なソリューションに使われているテクノロジー

スマート ウォッチ、スポーツ ウォッチ、フィットネス トラッカーなど、健康状態を測定する「定番」ウェアラブル機器に加え、指輪やジュエリーなどの新しい型破りな形状の機器が登場しています。小型で目立たず、自分の好みに合わせやすいという特長を持つ一方、記憶容量、バッテリー寿命、取り扱い、精度、信頼性、セキュリティなどの面が大きな課題です。ユーザーは美しいデザイン、ウェアラブル機器と同等以上の機能性、安心感のある容易な取り扱いを期待しているのです。

Oura Ring: フィットネス、ストレス、睡眠、健康モニタリング機能を備えたスマート リング

Oura Ringは、健康状態のモニタリングと改善に役立つ革新的なウェアラブル機器です。睡眠、活動への準備、活動などのスコアを表示し、毎日毎秒、体がどう感じているか、体が何を必要としているかを教えてくれます。パーソナライズされた体験を実現するOuraアプリを使うことで、もっと睡眠が必要なとき、体調に異変が生じているとき、自分を追い込むべきときなど、さまざまな情報を知ることができます。

Oura Ringはスタイリッシュで心地良いフォーム ファクターに、長いバッテリー持続時間、高い処理能力、高度なセンサー類がすべて詰め込まれています。このイノベーションを実現しているのが、以下の機能を備えたPSoC™ 6 MCUです。

  • 小型のフォーム ファクター: 複数の機能を1つのPSoC™ 6 MCUに統合することで、前世代よりもリングのサイズを50%削減することに成功しました。
  • データ ストレージ: PSoC™ 6のオンチップ フラッシュ メモリには最大6週間分のユーザー データの保存が可能です。
  • Bluetooth low energy: PSoC™ 6に内蔵されたBLEワイヤレス接続により、モバイル アプリ端末との通信が可能です。
  • バッテリー寿命の延長: PSoC™ 6の超低消費電力特性によりバッテリー寿命の延長が可能で、バッテリー持続時間を前世代リングの3倍である7日間に延ばすことができます。
  • センサー フュージョン: PSoC™ 6はホスト プロセッサとして、リング内のさまざまな生体センサーを接続し、データの収集と処理を行います。
  • データ処理: PSoC™ 6はCortex-M4コアとCortex-M0+コアのデュアル構成になっているため、前世代の10倍の処理能力を実現しました。

高齢者の間で、手首に装着するヘルスケア バンドが人気を集めています。ヘルスケア バンドにはさまざまな健康モニタリング機能があり、ユーザーは自分の健康状態をリアルタイムに把握することができます。一般的な健康状態や活動量を把握できるだけでなく、遠隔健康管理サービスに接続し、心拍数、血圧、血糖値などの特定の健康指標を自分が選んだ医療機関に送信することで、基礎疾患や慢性疾患に対応することも可能です。位置情報機能や転倒検知機能が搭載されているものは、さらに安心感が高まります。これらの機能により、高齢者は安全で自立した生活を末永く楽しむことができるようになります。

安心、安全、信頼のヘルスケア バンドを実現しているテクノロジー

インフィニオンは、安全で信頼性の高い手首装着型ヘルスケア機器の開発に必要なセンシング、コンピューティング、メモリ、電力部品、接続部品など幅広い製品ラインナップを用意しています。詳しくはここをクリックしてください。

健康モニタリング@ホーム

スマート ホームを実現するソリューション

社会で慢性疾患や健康の問題が増加するに伴い、在宅介護や自宅で自己治療したいというニーズが高まっています。一部の地域では適切な施設がない状況もさることながら、自分で主体的に生活したいという人々の欲求がその傾向の決定的な要因となっています。そうしたニーズの対応に役立つのが、ホーム オートメーションと健康モニタリングのソリューションとしてのスマート ホームです。

スマート ホーム技術は、健康データを収集しながら簡単なサービスを提供することができ、要介護者の医療機関への依存度を下げ、自宅での生活の質を向上させることができます。また、家庭で健康モニタリングをすると、健康状態を把握し、健康指標が異常値を示した場合に必要に応じて対策を講じることができます。

家庭での健康と福祉をサポートする革新的なソリューション

良質な睡眠が心身の健康にとって非常に重要であることは疑う余地がありません。睡眠の質は日中どれだけ健康的に効率良く動けるかに影響します。睡眠は肥満、うつ病、2型糖尿病などの生活習慣病の発症リスクにも影響します。残念ながら、多くの人が断続的、あるいは定期的な睡眠障害に悩まされています。しかし、その原因を突き止めるのは容易ではありません。そこで睡眠モニターを使うと、睡眠の質を測定し、個人の睡眠パターンに関する貴重なデータを得ることができます。

XENSIV™レーダー センサーを搭載した次世代睡眠モニター

レーダー ソリューションはSleepiz社Tsingray社の睡眠改善ソリューションにおいて、医療ヘルスケアのデジタル化を実現する重要な役割を担っています。

Tsingray社製デバイスの最大の目玉は業界に先駆けてミリ波レーダー断層像センシング技術を採用したことです。2.5 cm分解能のクロマトグラフィーと100 msのリフレッシュ周期により、睡眠、呼吸、心拍、体の動き、姿勢など多次元モニタリングを可能にします。つまり睡眠中の被監視者の微動データをすべて完全に記録することができます。

革新的なTsingray社ソリューションにおいて、インフィニオンの製品はどのような役割を担っているのでしょうか?

インフィニオンのXENSIV™ミリ波60 GHzレーダー チップを使用した睡眠呼吸モニタリング用スマート デバイスは、最近のJD Health社とTsingray社による業務提携プロジェクトにも採用されました。このデバイスは現在、中華圏に拠点を置く巨大なオンライン取引プラットフォームであるJD.comの睡眠の質を向上させるヘルスケア オンライン サービス パッケージの一部として提供されています。Tsingray社はインフィニオンのXENSIV™レーダー チップに加え、インフィニオンのWi-Fi/BLEも採用しています。PSoC™ MCUOPTIGA™ Trust Bセキュリティ チップ ソリューションを採用し、この睡眠モニターの次世代製品の開発を進めています。

インフィニオンの60 GHz帯ミリ波レーダー チップのXENSIV™を搭載した睡眠呼吸モニタリング用スマート デバイスは以下の特長があります。

  • 非接触、無感覚の連続睡眠モニタリングで、睡眠に影響を与えずに一晩中リアルタイムにデータを収集します。
  • 睡眠全体のバイタル サインや体動のマイクロ データを正確に測定し、ミリ波クロマトグラフィーによる多次元的な睡眠モニタリングを実現します。
  • 睡眠改善計画、専門家によるコンサルティング、フォローアップ診察の参考データとなるモニタリング レポートを自動作成します。
  • AI予備診断、治療システムによる睡眠障害を診断します。
  • 低消費電力、最小限の容積で、ミリレベルの精度で物体間の距離を測定することができます。
  • 非接触モニタリング方式によりユーザーの不快感を回避できるため、家庭での長期モニタリングに最適です。
  • 夜間でも呼吸パターンや心拍パターンを正確にモニタリングし、睡眠時突然死や長期無呼吸、その他の危険をタイムリーに警告します。
  • 慢性閉塞性肺疾患、喘息、無呼吸症候群、低換気症候群などの慢性呼吸器疾患の診断をサポートします。

 

 

スマート スピーカーは、スマート ホームの中心的な制御ハブとなりつつあります。さらに、レーダー センサーによる存在検知機能を搭載することで、OEM企業は競争が激しく急成長するこの市場セグメントにおいて、高度で革新的な機能による差別化が可能になります。レーダー センサーを追加することで、人の「リアルな」存在と位置を感知し、ユーザー体験を向上させることができるのです。人の動く方向 (到着角度) を検知する機能により、スマート スピーカーは人が近づいてきたことを認識し、VUIやインターネット接続の電源を入れ、コマンドを受け付ける状態にすることができます。もはや起動コマンドであるウェイク ワードは必要ないのです。

レーダー センサーで実現するスマート スピーカーの健康モニタリング機能

レーダー センサーの驚くべき感度を活用すれば、スマート スピーカーに健康モニタリングの新機能を搭載することができます。フィットネストラッカーやスマート ウォッチに運動、睡眠、心臓モニタリングなどの機能が搭載されたときのように、健康管理の重要性に対する意識の高まりに応えたエキサイティングな新分野が生まれようとしています。レーダー センサーは手首の脈拍まで検知できる感度を持っているため、レーダーセンサーを搭載したスマート スピーカーは健康モニタリング機能を搭載することで、システムのコストをほぼそのままでユーザーへの価値を高めることができます。

たとえば、転倒の検知や高齢者の日常生活パターンの異変モニタリングにより、呼吸数、心拍パターンの異常、咳やいびきなどを問題の予兆として把握するというユースケースが考えられます。こうしたモニタリングはすべて自動で行われるため、高齢者がモニタリング デバイスの装着を忘れても問題ありません。

近年のパンデミックにより、室内空気環境に対する意識が高まっています。同時に、エネルギー効率も時代の重要なテーマとなっています。建物の断熱効率向上は省エネにつながりますが、高断熱の住宅が必ずしも健康に良いとは限りません。換気が不十分だと、酸素濃度が低下し二酸化炭素 (CO2) が蓄積されます。二酸化炭素濃度が中程度でも、眠くなったり集中力が低下したりと、健康や生産性に悪影響を及ぼすことがあります。そのため、CO2濃度の上昇を感知し、ユーザーに警告を発したり、システムの応答を促したりすることができるスマートな室内空気環境センサーの需要が高まっています。換気システム、空気清浄機、サーモスタットなどにリアルタイムCO2モニタリング機能を追加することで、室内の空気環境を正確に測定し、調整することが可能になるのです。

eesy-innovation社が使いやすい民生向けCO2センサーを発売し心身の健康増進に貢献

新型コロナウイルスが蔓延し、健康への懸念が高まる中、エンドユーザー市場におけるCO2センサーのニーズと需要の増大に応える

製品としてco2go®が登場しました。インフィニオンの提携パートナーであるeesy innovation社が開発したこの革新的なモバイルCO2センサーは、どこでも屋内CO2濃度を測定することが可能です。co2go®は、スマートフォンやノートパソコンと簡単にリンクすることができ、身の周りの空気の質に関する情報を明確に表示して心身の健康増進に貢献します。CO2濃度はデバイスのディスプレイに赤、青、黄で表示されます。ノートパソコンに接続すれば、専用のデスクトップ アプリを利用することも可能です。

co2go®は使いやすく、空気中の目に見えない危険物質であるCO2の濃度の上昇から消費者を守る機能を持ったデバイスです。教室、オフィス、会議室、レストラン、家庭など閉じた空間に人が集まる場所で使用することができます。

co2go®は、電気化学的手法 (EC)、赤外線 (NDIR)、等価二酸化炭素 (eCO2) などの間接的な測定方法を用いる従来のCO2デバイスとは異なり、インフィニオンの新しいXENSIV™ PAS CO2センサーという優れたテクノロジーを用い、光音響分光法 (PAS) によってCO2レベルを直接定量化することが可能です。

インフィニオンの革新的なセンサー技術により、co2go®は非常に小さなフットプリントながら従来製品に比べて非常に優れた測定精度を実現しています。サイズ、性能、コストなど従来の制約が一掃されました。この技術的なブレークスルーにより、個人が日常的に携帯できる健康補助機器をモバイル小型フォーム ファクターで実現する道が拓かれたのです。

機密性の高い健康データの保護

ヘルスケアのプライバシーとセキュリティ

ここ数十年、健康やライフスタイルにおけるデジタル技術の利用が飛躍的に進んでいます。画像処理を利用した診断、電子健康カード、外科手術におけるロボットの活用、遠隔医療、個人の健康状態をモニタリングする家庭用/携帯用デバイスなど、潜在的なアプリケーションも多数あります。このようにデジタル化が進んだことで健康や患者のデータの保護が急務となり、デジタルヘルス システムを機能させるための基本要件となっています。

人工知能 (Ai)、機械学習 (ML)、ビッグデータなどの分野が重要な役割を担うようになり、個人情報や機密情報の不正利用を防ぐためのデータ セキュリティの重要性は高まっています。

機密性の高い医療データを保護するインフィニオンのソリューション

盗難、詐欺、不正操作などの攻撃を防ぐための重要な鍵はスマート ヘルス機器に適切なセキュリティ ソリューションをあらかじめ組み込んでおくことです。セキュリティ ソリューションを求めている企業は迅速に統合して市場投入する必要があるため、使いやすさと信頼性を兼ね備えたソリューションを必要としています。ソフトウェアのみのソリューションとは異なり、ハードウェア ベースのソリューションは強力で改ざんされにくく、強固なセキュリティ基盤となります。インフィニオンの独立認証式ハードウェア セキュリティ ソリューションは、あらかじめ組み込まれているので、システムへの統合が容易です。OPTIGA™ TrustソリューションとOPTIGA™ Authenticate Sソリューションは非常に機密性の高い個人医療データの保存と転送を保護します。

国を問わず、医療保険の不正給付によって保険当局や企業は毎年何億ドルもの損失を被っています。紙やメモリ カードによる従来システムの場合、患者や利用者が実際に被保険者であるかどうかを当局が確認することは困難でした。

電子カルテで不正防止を強化

電子カルテは利便性の向上と患者体験の改善を実現する一方で、個人の医療記録を悪用から保護する必要があります。

電子カルテはバイオメトリクスなどの高度な認証メカニズムに進化するにつれ、不正行為を防止するための有効な手段となってきています。また、主な医療データや投薬履歴の保存、電子処方箋としての利用により、患者の体験を向上させる可能性を持っています。それだけでなく、社会保障番号を安全に保管する用途も考えられます。

電子カルテには機密性の高い医療データが保存されるため、堅牢なプライバシー保護が重要です。また、電子カルテを広く普及させるには、管理の容易さ、そして最も重要なこととして、テレマティクス インフラの成熟が不可欠です。それによって医療に関わるすべての人が連携し、データと機能が動的に更新されるようになるのです。

未来の電子カルテ カードを実現する最先端技術

インフィニオンのコントローラーは機密データの保護機能だけでなく、今後の電子カルテに必要とされるメモリ容量、パフォーマンス、コスト効率に優れており、その点がお客様に高く評価されています。その一例として、機密データを保存するだけでなく、内部処理的に処理して暗号化するセルフチェック機能付きデュアルCPUのIntegrity Guardを搭載したSLE 78が挙げられます。

Integrity GuardとSOLID FLASH™メモリは、セキュリティの実装と認証プロセスを容易にする特別な設計を採用しており、市場に出すまでの時間を短縮することで総コストを大幅に削減します。

また、インフィニオンが提供しているソフトウェア ソリューションはネイティブ プラットフォームまたはJavaプラットフォーム上で完全に統合されており、展開の容易さに一役買っています。

定義と事実

スマート ヘルス機器とは

ほんの数年前まで医療のデジタル化はまだまだ先のことだと思われていましたが、今や本格的に進んでいます。フィットネス トラッカーやスマート ウォッチなどのスマート ヘルス機器はリアルタイムでデータを記録し、文書化することができます。重要な診療をデジタルでどこからでも効率的に予約することも可能です。健康に関する判断やセルフケア行動のサポートと促進もデジタル化が進んでいます。今後ますます心身の健康増進が重要になる中、こうしたデジタル化によって患者自身が積極的に健康増進に関わることになります。

その理由

世界人口は増加傾向にあります。国連の最新の予測によると、2030年に約85億人、2050年には約97億人に達すると予測されています。同時に、世界の平均寿命も延び、2050年には77.2歳になるとされています (1)。誰しも健康で、活力にあふれ、高齢になってもできるだけ自立した生活を送りたいと願う中、こうした現状は私たちに課題を突きつけています。国連の持続可能な開発目標No.3によると、持続可能な開発のためには、すべての年齢層で健康と福祉を確保することが不可欠です (2)。これを実現し、医療制度の崩壊を防ぐには、予防医療、セルフケア、心身の健康というテーマが重要になってきています。その実現にあたって重要な要素がデジタル化であり、ヘルスケアIoTとも呼ばれるIoMT (Internet of Medical Things) なのです。

  1. 国連経済社会局人口部 (2022年)、『世界人口の展望2022: 結果の概要』、UN DESA/POP/2022/TR/NO. 3.
  2. 国連『持続可能な開発目標』https://unric.org/en/sdg-3