世界各地に正しく物資が輸送されていることは、国際貿易と世界経済の繁栄の根幹となっています。バッテリー電気自動車 (BEV) と水素燃料電池の電気自動車 (FCEV) の両方に対応するインフィニオンの半導体ソリューションは、トラック、バス、農業用車両をエミッションフリーにするのに役立ちます。
自動車からの排出ガスの中で、貨物輸送は高い割合を占めています。従って、この分野の車両クラスの電動化は、グリーン モビリティに向けた現在の取り組みで中心的な役割を担っています。この変革において、インフィニオンは貨物車両も含めた電気自動車を推進する重要な推進役となっています。持続可能なモビリティを実現するためには、バッテリー電気自動車と水素ベースの燃料電池電気駆動装置が必要であり、どちらも再生可能資源から生成されるエネルギーを使用しなければなりません。
半導体を含むデジタル技術は、センサー ソリューションと信頼性の高い接続性を実現し、貨物自動車の「スマート化」を進める重要な役割を果たします。インフィニオンは実証済みの専門知識と堅牢で高品質な制御およびパワー半導体ソリューションの包括的なポートフォリオによって、この種の車両の設計をサポートします。
Eトラックなどの貨物自動車に搭載されるパワー エレクトロニクスは非常に大きな荷重を受けます。そのため、貨物自動車と乗用車ではパワー エレクトロニクスの要件が大きく異なります。乗用車が10年間で平均4,000時間稼働するのに対し、交代勤務で使用されるトラックやバスは15~20年で10万時間に達し、電気駆動装置にとって大きな課題となっています。パワー半導体のマーケットリーダーであるインフィニオンは、国際貨物輸送と物流に従事するさまざまなタイプの車両とインフラ システムの中心的な役割を担っています。
中でも電子制御ユニット (ECU) を特別な設計にするなど、堅牢性のニーズに対応しています。回路基板上の空きスペースが限られている中、ECUは多くのことを処理しなければなりません。このような要件に対応するためには、24Vシステム専用に設計された、統合が容易な製品が必要です。また、そうした製品を提供する企業は、そのアプリケーションで実証された専門知識を持っていなければなりません。インフィニオンは、設計の柔軟性と互換性を最大限に高めた24Vシステム用のスケーラブルなハイサイド スイッチの特別なポートフォリオを用意していることから、パートナーに選ばれました
燃料電池を搭載した商用/建設/農業用車両 (CAV) は、水素ガスでモーターを駆動します。燃料電池は、水素と酸素を反応させて電気を生成し、モーターを駆動させる技術です。燃料電池はまだ開発の初期段階にあり、課題もありますが、多くのメリットをもたらすことが期待されています。
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水素自動車とバッテリー電気自動車は、それぞれ別の用途で棲み分けていくことになるでしょう。一般的に、水素ベースの燃料電池駆動装置は、バッテリー充電インフラが限られている場合や重い荷物を積んで長距離を走る場合に使われるようになると考えられます。一方、バッテリー電気駆動装置は航続距離400kmまでの小型商用車や乗用車の主要なソリューションになるでしょう。
長期的な視点で見ると、貨物輸送は明らかにエネルギー効率と持続可能性に優れたモビリティを実現させる自動運転に向かっています。完全自動運転には、セキュリティや規制の問題など克服すべき課題がありますが、自動運転車はすでに港湾ターミナル、高層の倉庫、空港などで使用されています。そして、モビリティの風景はさらに変化していくでしょう。多くの車両運行会社が、自動運転の電動モビリティに切り替えることになります。
しかし、eトラックを購入する際、重要な判断材料となるのが総所有コストです。つまり、車両の購入価格だけが判断基準ではないということです。運転時間や積載時間も経済的に重要な要素です。だからこそ、半導体ソリューションなどのデジタル技術には、大きな役割を果たし、持続可能なモビリティ コンセプトの一部である自動運転のメリットを実現させることが求められるのです。
乗用車では自動運転技術が少しずつ前進している状況ですが、トラックではその技術開発が急速に進んでいます。自動運転は、運転や休憩時間以外にもメリットがあります。それは、積み替え施設が柔軟に計画できるというメリットです。いずれは、ドライバーがスマート トラック駐車施設の輸送管理者になる日が来るでしょう。荷物の積み込みが終わると、トラックは自分で最適なルートを選んで出発します。24時間365日、地形や交通状況を考慮して燃料を節約できるルート ガイダンスに従って走行するのです。
こうしたサービスは、いずれもセンサー ソリューションを必要とします。多目的カメラやレーダーなど、スマート トラックのさまざまな「感覚」は、トラック設計にしっかりと統合されている必要があります。無数の環境データをエラーなくリアルタイムに処理し、運転における判断を下さなくてはなりません。だからこそ、インフィニオンの半導体ソリューションがこの分野で重要な役割を担っているのです。
そのため、インフィニオンは、非常に幅広い用途のソリューションを提供しています。例えばトラックでは、主に電気ドライブトレインと補助電源が含まれますが、車載充電器やワイヤレス電源、DC-DCコンバータ、電動ポンプ、コンプレッサも含まれます。
インフィニオンの半導体を使用するその他の関連アプリケーションには、バッテリー管理システム、ブレーキ車両安定性制御や「Steer-by-wire - Brake-by-wire」などのセキュリティ機能、レーダーやカメラアプリケーションなどがあります。CAV電動化アプリケーションの全領域をカバーするため、インフィニオンの製品は、Si IGBTやCoolSiC™ MOSFET、EconoDUAL™やHybridPACK™ Driveなどのパワーモジュールから、コンプリメンタリゲートドライバ、マイクロコントローラ、センサまで、あらゆる製品で構成されています。インフィニオンのIGBTの中で最も著名なものは、最大900A、1700V定格のコスト効率の高いEconoDUALTM 3ハーフブリッジです。
大型車向け製品ラインアップ
商用車の大型サイド ミラーは非常に重要な安全装備で、ドライバーの後方や左右の視界を確保するために欠かせないものです。
デジタル ミラー システムは、大型のサイドミラーに代わり、運転席の上に設置された2つの室内モニターと2つの外部カメラで構成されています。流線型に設計できるため、燃料消費量を1~2%程度削減することができます。同時に、このシステムはドライバーの全周囲の視界を大幅に改善し、死角を小さくします。インフィニオンは分散型電子制御ユニットにより、これらの多様な機能を実現しています。
交通渋滞は、都市生活における最大の課題の1つです。この問題に対処するため、都市ではスマートな電子料金徴収システムの導入が進んでいます。特に都心部では、繁華街に入る車両に課金することで、交通量の配分を調整することができます。インフィニオンの製品ラインアップは、高いセキュリティ基準を備えた信頼性の高いソリューションを提供し、電子道路通行料金徴収方式を確実にサポートしています。これにより、不正行為や悪用されるリスクを低減することができます。システムがナンバー プレートに組み込まれているタイプ、フロント ガラスに取り付けられているタイプ、スマート カードやウェアラブルを使用するタイプなど、さまざまな形態で安全かつ迅速に車両を識別し、スムーズな交通の流れを実現します。
最新の管理システムは、車両テレマティクス (追跡と診断) など、今日の自動車のいくつかの重要な機能を担っています。テレマティクスは自動車のクラウド接続、ドライバーと同乗者の安全確保、交通の流れの最適化、事故発生時の緊急自動通話を可能にします。その中核となるのが、テレマティクス制御ユニットと呼ばれるハードウェアとソフトウェアから成る組み込みシステムです。この制御ユニットはインフィニオンの製品ポートフォリオに含まれる半導体部品が使用されており、さまざまな無線通信規格をサポートし、セキュリティと消費電力を最適化するために必要な柔軟性を備えています。
テレマティクスによる運行管理の最適化
車両を保有する企業にとって、テレマティクス技術は大きなメリットがあります。整備士、ドライバー、物流管理者は、テレマティクス技術を使用して車両の最適化に関する判断を下すことができます。たとえば、トラックがどこにいて、ドライバーが何をしているかをリアルタイムで追跡することが可能です。また、実際の運転時間や、場合によってはトラックの故障やドライバーの不審な行動による予期せぬ停車も確認することもできます。
先進的なメーカーは、トラックの識別とサービス料金の決済に使用できるデジタルIDを付与するソリューションに取り組んでいます。新しいプラットフォーム技術と中心となるユーザー プログラムにより、ドライバーを介さず、またはドライバーと対話することなく車両が通行料、電気料金、デジタル通関書類を含む安全な国境管理ソリューションでの支払いを、自動的に行うことができます。
その結果、所有コストが削減します。なぜなら、将来的に輸送会社は物理的なカードを扱う必要がなくなるため、安全なプロセスと管理業務が大幅に減るという恩恵を受けることになるからです。
新しいサイドガード アシストは、ミラー カメラ ディスプレイを使用しており、たとえば、トラックの助手席側のモニターゾーンに歩行者やサイクリストを検知した時にドライバーに視覚的に警告し、mirrorCamとサイドガード アシストが連携して、衝突回避を可能にします。
欧州では全域で右左折支援システムの義務化が進められており、新型車については2022年7月から、新規登録車については2024年7月から導入が予定されています。このため、2018年にドイツ連邦デジタル・交通省は、ターン アシスト システムの自主的な搭載を促すインセンティブを国レベルで提供する「ターン アシスト スキーム」を開始しました。