車載用USB充電ヘッドユニット
ヘッドユニット用のUSB充電モジュールは、Break-out-Box (BoB) モジュールとも呼ばれます。Apple CarPlayやAndroid Autoに対応した電話からのUSBデータ接続、またはコンテンツ ストリーミング用のUSBストレージ デバイスとともに、USB-Cパワーデリバリー (最大100 W) に対応しています。また、1本のUSBケーブルで、ヘッドユニットに接続するUSBハブ (複数のUSB機器のモジュールへの接続用) にも対応しています。
USB PDコントローラー (CCG7D) は、DC-DC昇降圧コントローラーを内蔵したデュアルポートUSB PDコントローラーです。Armプロセッサをベースに、128 KBフラッシュとGPIOを備え、I2CインターフェースでUSBハブと接続できます。ヘッドユニットやボード コントロールモジュール (BCM) は、USBハブやI2Cインターフェースを介してCCG7Dと通信を行うことができます。インフィニオンはCCG7Dのソフトウェア インターフェース プロトコル (Host Protocol Interface – HPI) を開発し、USB-PDポートの状態をヘッドユニットやBCMと共有できるようにしました。HPIインターフェースは、ヘッドユニットやBCMがCCG7Dの機能を制御するのに使用することも可能です。
ヘッドユニットに接続すると、CCG7Dは認証済みファームウェアをOver The Air (LTEまたはWi-Fiインターフェース経由) またはOBDポート経由で受信することができます。CCG7Dは、Root of Trust Public Key (RoTPK)、RSA-2048、SHA-256 暗号化アルゴリズムを使用して、新しいファームウェアで内部フラッシュを更新する前にファームウェアの検証を行います。この機能により、自動車が製造ラインから出荷された後でも必要なファームウェアのアップデートが行え、USB規格の変更への対応やより優れた機能の追加が可能になります。
CCG7DはBoBの心臓部であり、24 VのLDOを内蔵しているため、入力フィルター モジュールの後に、車載バッテリーからCCG7Dをパワーアップすることができます。内蔵のDC-DC降圧コントローラーは、保護用の電流検出アンプを備えた外付けデュアルHブリッジ スイッチングFETを駆動します。CCG7Dは、5Aをサポートする電子マーク付きUSB Type-Cケーブルの検出用に、VCONN FETを搭載しています。CCG7Dは、モジュール温度の測定に最大4個のNTCサーミスタを使用することができ、測定値は出力パワーを調整するのに使用されます。
CCG7Dは車載用ソフトウェアを統合しており、以下のような車載用付加価値機能を提供します。
- USB-Cポート間の動的負荷分散 (動的なロード シェアリング)
- USBハブへのI2Cインターフェース
- 温度とバッテリー電圧に応じた出力調整機能
- 認証ファームウェアのアップデート
- ブラックボックス機能 – 自己診断のために、発生したフォールトを多数保存可能
- プログラマブル パワー サプライ (PPS) (USB-C Power Deliveryのオプション仕様) に対応
- VBATT-GND短絡保護