.XT interconnection technology
システムの高い電力密度と長寿命化を実現
世界のエネルギー需要は今後数年間で急増することが予想され、同時に各国政府はより野心的な排出量目標を可決しています。再生可能なグリーンエネルギーへの転換は、排出量削減のための重要なステップですが、世界的な普及には、より効率的でパワフル、かつ信頼性の高いシステムを構築することが不可欠となります。
インフィニオンの.XT技術は、その解決策を提供します。この高度な相互接合技術は、チップからより多くの電力を引き出すために使用されます。当社独自の技術と進歩したコンポーネントにより、システムの寿命を延ばしながら、より高い電力密度と堅牢性を達成できます。
.XT技術は、再生可能エネルギーへの移行を可能にします。CoolSiC™ MOSFETディスクリートとIGBTモジュールの両方に対応する.XT相互技術によって、風力発電、太陽光発電、EV充電、産業用ドライブなどのアプリケーションを変革し、より環境に優しく、より持続可能な未来への道を切り開くものです。
ディスクリート製品向け.XT技術
電力変換システムにおいて、熱性能を維持しながらより小さなフォームファクタ(主要部品の寸法)で実装することは、しばしば相反する課題ですが、インフィニオンの革新的な.XT技術とCoolSiC™チップの組み合わせが、その解決策を提供します。
性能と信頼性を向上させる拡散はんだ付け
.XT技術を使用したCoolSiC™ MOSFETのディスクリートパッケージは、インフィニオンが開発した独自の拡散はんだ付けプロセスにより、半導体の性能、信頼性、寿命を向上させ、エネルギー効率の高いシステムやクリーンエネルギーの導入を加速させます。
.XT技術では、一般的なはんだ付けプロセスで見られる制限がありません。インフィニオンは、チップからパッケージを経由してヒートシンクまで、非常に熱伝導率の高い拡散はんだ付けのプロセスを開発しました。CoolSiC™との組み合わせにより、チップのジャンクション-ケース間の熱抵抗を最大25%改善し、放熱性を最大30%向上、または、動作温度を最大15K低下させることができます。
グリーンエネルギー向けの持続可能なアプリケーションを実現
こうした特徴は、太陽光発電、電気自動車の急速充電インフラ、エネルギー貯蔵システム、モータードライブなど、同じフォームファクタで性能向上が可能なアプリケーションにおいて、重要な利点となります。このような進歩により、SiCを使用した設計最適化の可能性がさらに高まります。
モジュール製品向け.XT技術
パワーモジュールの.XT技術は、風力タービンのコンバーターやトラクションや電動トラックの推進用コンバーターなど、厳しい環境で寿命の長いアプリケーション向けに設計されています。
モジュール製品向けの .XT技術は、改良されたワイヤーボンディング、シンタリング(焼結)によるチップ取り付けや基板下はんだの高い信頼性が特徴です。こうした相互接合の改善により、アプリケーションの負荷サイクル時に発生するワイヤーボンディングやチップのはんだ接続部の疲労など、典型的な磨耗や破損のメカニズムが解消されます。
アプリケーションの要件を満たすため、3.3 kV XHP™ 3などの高電圧モジュールでは負荷サイクルへの耐量が5倍以上に向上しています。1.2 kVや1.7 kVのPrimePACK™やXHP™ 2などの低電圧モジュールは、標準の接合技術に比べて25 K高い温度で、40倍の負荷サイクルに耐えることができます。つまり、モジュールが175℃まで、増加した負荷サイクル耐えることができるということです。
高い負荷サイクル耐量のように、.XT相互接合技術の利点は数多くあります。
XHP™モジュールは、"Roll2Rail "プロジェクトで課された最新のトラクション業界の基準を満たしたものです。少なくとも35年間の寿命が要求されるため、地方の長距離列車の高額なメンテナンス費用を回避することができます。
風力タービンに用いるPrimePACK™モジュールも同様で、最低でも30年の製品寿命がが要求されます。また、熱サイクルに耐えることができるため、陸上および洋上風力発電所における複雑なメンテナンスを不要にします。
.XT PrimePACK™モジュールは175℃の動作温度に対応しているため、お客様は消費電力を増やすか、部品点数を減らすかを選択することができます。パワーアップを選択した場合、出力を最大30%増加できます。また、標準的な接合プロセスと比較して、.XTは電力を増加させても寿命に妥協することはありません。
もう一つの選択肢として電力レベルを維持したまま部品点数の削減が可能です。これは、.XT技術によるデバイスの「利用率が高い」からです。このようにパワーモジュールや周辺部品を削減することは、MTBF(平均故障間隔: Meantime Between Failure)の低下につながります。
.XT技術により駆動範囲が広がり、風の弱い地域での風力発電が可能になります。さらに、風力タービンが住宅地の近くに設置されている場合は、サイレントモードに移行することができ、持続可能エネルギーを使った発電の普及促進につながります。.XT技術を搭載したPrimePACK™またはXHP™ 2モジュールは、製品寿命を損なうことなく低いローター回転数での運転に耐えることができ、風力タービン事業者はより多くの年間発電量が見込めます。
.XT技術を搭載したパワーモジュールは、公共交通機関の改善にも貢献しています。地下鉄では、乗客の利便性を高めるために始動-停止比率を調整することができます。起動-駆動-停止の動作範囲を最適化することで、乗客が乗車するまでの時間を長くすることができます。.XT搭載XHP™モジュールは、製品寿命に妥協することなく、こうした負荷サイクル条件にも耐えることができます。